1.基本のポイント
 どの保険会社でも、どの自動車保険でも、最低限必要な保険の中身は変わりません!いろいろなオプションが付いたり付かなかったりして、見かけは違いますが、対人、対物、搭乗者傷害、車両といった一般的なものは、基本的に同じです。保険は万が一の時のもので、万が一がないことにこしたことはありません。安全運転をまず心がけ、それでも、人様にご迷惑をかけてしまった場合の金銭的なバックアップをしておく、というのが自動車保険の基本です。
 自動車保険は、生命保険と異なり1年契約です。すなわち、現在の保険会社やサービスが気に入らなければ、来年は他の会社で契約すればよいわけです。幸い、それまで貯めた「無事故割引」というものは、外資系に移ったりする時も、戻ってくる時も、ちゃんと継承されます。
 いい保険、安い保険がどんどん出てきています。できるだけ多くの情報を集め、比較して、決めるのが、賢いやり方です。

2.保険料を比べてみましょう

 会社によって、保険料の計算方法が違うため、同じ条件でも、保険料が違ってきます。計算方法が違うのは、その会社の戦略上の考えや、顧客ターゲットの設定が異なることによります。そして、そのターゲットも時とともに結構変わったりします。
 そこで、一般消費者としては「いま現在、自分の条件で一番有利な」保険を探し、1年たち契約が切れたときに、また「その時」に一番有利なものを探してみる、というのがもっともお得になります。

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3.自動車保険で補償されるもの

 自動車保険で、何が保険の対象となるのでしょうか。
1.自動車保険の大まかな種類

  対人賠償 対物賠償 自損事故 無保険車傷害 搭乗者傷害 車両保険
自家用自動車
総合保険(SAP)
自動車
総合保険(PAP)
一般自動車
保険(BAP)
 
ドライバー保険      
解説: 自動車に関する保険は、法律で加入が義務づけられている強制保険と、自主的に加入する任意保険に大別 され、任意保険は、普通保険約款の種類によって、4つに分けられる。SAPは車両保険まで付いたパッケージ。PAPは車両はオプションとなる。SAPとPAPが一般 的で、新しいタイプの保険も、これの派生型。BAPはばら売りタイプだが、どの保険会社も積極的には販売していない。補償も薄いのでおすすめはできない。対物保険示談交渉サービスが付くのはSAPのみ。東京海上のTAPやチューリッヒのZAPなどは、基本的にSAPの仲間だが、その上位タイプとなる。

2.主な補償の内容と、支払われる保険金

対人賠償保険 自動車事故で、歩行者、相手の車に乗っていた人、自分の車に乗せていた人など、他人※を死傷させて、法律上の損害賠償責任を負ったときに、保険金が支払われます。保険料は殆ど変わらないので、無制限とすることをお勧めします。
対物賠償保険 自動車事故で、相手の車、自転車、電車、家屋、商品、ガードレール、街灯、動物など、他人※の財産を破壊し、法律上の損害賠償責任を負ったときに、保険金が支払われます。1,000万円もあれば、殆どの事故はカバーできますが、最近では無制限の保険も取り扱われるようになりました。2,000万ぐらいがおすすめ。
搭乗者傷害保険 本人やご家族、友人、知人など、ご契約の車に乗っていた人が、事故によって死傷したときに保険金が支払われます。保険金には、死亡保険金、後遺障害保険金、医療保険金、重度高度障害特別保険金があります。後遺障害については、軽いむち打ちなど、自覚症状があっても医学的に証明されないものは対象とならない可能性もあります。
車両保険 ご契約の車が、衝突・接触などの事故で壊れたり、火災や盗難にあったときに保険金が支払われます。
一般条件 衝突、接触、墜落、転覆、物の飛来、物の落下、爆発、盗難、台風、洪水、高潮など、偶発的な事故を殆どカバーしています。当て逃げなど相手の車が確認できない場合もOKです。(無免許、酒酔い、地震、自然摩耗などは除きます)
車対車プラスA
(エコノミー+A)
相手の車が確認できる事故の他、台風や洪水などの自然災害、落書きなどのいたずら、盗難などの場合にも、保険が支払われます。
自損事故保険 自分の運転ミスで崖から転落したり、家屋に飛び込んだなどの単独事故により、運転者または同乗者が死傷し、自賠責保険で補償されないときに、保険金が支払われます。死亡保険金は一律1,500万円、後遺障害保険金、医療保険金もそれぞれ金額が決まっています。
無保険車傷害保険 任意保険に入っていない車との事故で、自分の車に乗っていた人が死亡したり、後遺障害を被ったときに、保険金が支払われます。保険金額は、対人賠償と同額または2億円のいずれか低い金額に自動的に設定されます。自賠責保険の上乗せ保険で、自賠責に入っていない車が相手であった場合、その範囲内は対象外となります。
他車運転危険
担保特約
他人の所有する自動車を借りて運転中に起こした対人、対物、自損事故、無保険車傷害事故に対して、保険金が支払われます。(最近は人身傷害が出るタイプも・・・)但し、その車に保険がついている場合には、それを優先して支払います。SAP、PAP、BAPに入ると自動的に付いてきますので、気づかない方も多いと思います。最近では他人の車に付いている保険に優先して支払われる「優先払」のタイプもあります。

※)他人
の定義
(次の者以外が他人となる。次の者は被保険者となり、対人賠償あるいは対物賠償の対象とならない)
1. 記名被保険者(通常は保険を申し込んだ契約者)
2. その配偶者
3. 上記1又は2の同居の親族
4. 上記1又は2の未婚の別居の子
5. 上記1の許可を得て、被保険自動車を使用、管理する人
6. 上記1の使用者

4.新しい補償、サービス
人身傷害補償 これまでになかった点として、@過失割合に関わらず保険が満額支払われるA相手の保険会社との交渉まで全て保険会社がやってくれるB車外での交通 事故に関しても保障がでる(家族が対象)というもの。
但し、既に他の生命保険や損害保険で、自分に対して十分な保障を掛けていると思われる場合は、そんなに必要でないかもしれない。自動車保険の基本は、他人に対する迷惑を金銭的にカバーするものだ、自分で事故して自分が怪我するのは仕方ない、と割り切れば、必要ないかもしれない。
身の回り品の補償 カメラ、ビデオ、衣類など、車に積んでいたものが、事故によって壊れた場合に保険がおりる。身の回り品補償自体は以前からあるが、パッケージとして組み込んでいる。
代車費用の補償 事故により車が使用できないため代車を借りたときに、その費用を補償する。日数限度あるいは金額限度がある場合が多い。指定工場を持つ保険会社ではその工場で修理した場合に限り、引き取り、代車、納車まで無料となる。
事故付随費用 いまや新サービスの定番として、各社が導入している補償。スキーや帰省など、遠方へ出かけた際の事故により、やむなく使用したホテル代、利用したタクシーや電車代、陸送費用などを支払うもの。支払い内容と限度額は各社様々。
他社運転特約の拡大 友人などから借りた車で事故を起こした場合に、自分の契約している保険を優先的に使用することが出きるようにしたもの。これまでは、そうした場合でも借りた車の保険が優先されるため、保険を使った場合には友人が払う保険料が高くなってしまう問題があった。
他人の車を運転する機会がない方には特にオススメしません。
弁護士費用 交通事故の被害者となり、示談が上手くいかず訴訟となった際に、弁護士費用を補償するもの。最高300万円が限度。チューリッヒでは別途で、日常の法律相談も含めて弁護士無料相談が受けられるサービスが自動付帯されている。
車両臨時費用 一定の条件を満たした場合、車両保険の支払いに加えて、お見舞い金などの一定金額の支払いを受けられるもの。車両保険では修理費や時価相当額までしか出ないが、この補償を買い換える車両の諸手数料などに充てることができる。各社金額が非常に違います。
免ゼロ特約の拡大 車両保険で「免責ゼロ」特約を付けると、何でも免責ゼロになると思ったら大間違いで、相手車が確認できる車対車の事故に限定されていた。これを電柱にぶつかった自損事故の場合など、オールリスク型に拡大したもの。
レッカー車現場急行 走行不能となった場合、無料でレッカーをサービスするというもの。JAFに加入していれば同等のサービスが受けられる。

5.新しい割引制度
安全運転者割引 16等級で1年間無事故であり、かつ30歳未満不担保を付けた場合、保険料を更に12.5%割り引くというもの。現在チューリッヒのみが取り扱っています。
長期優良契約者割引 上記同様に、保険料を更に5%割り引く制度。他の保険会社からの乗り換え契約についても適用する。現在、外資系を含め、多くの会社が導入している。
複数所有新規割引
の拡大
2台目、3台目など複数所有の割引を拡大したり、対象とする車種を追加したもの。1台目が他の保険会社の契約でも良い。
エコカー割引 電気自動車、ハイブリッドカー、メタノール車など、低公害車の保険料を3%程度割り引く制度。低公害車だからといって、すぐに事故が減るわけではないが、そういったマインドを持った人は安全運転を心掛けるだろう、というのが根拠。
横滑り防止装置割引 横滑りをコンピューターで制御する装置を装着した場合、対人、対物、搭乗者傷害の保険料が5%割引になる。装置の名称は、トヨタではVSC、日産はVDC、本田はVSA、三菱はASCという。
安全ボディ割引 トヨタのGOA、日産のゾーンボディ、本田のSAFETY BODYなど、衝突安全性の高い車の場合、搭乗者傷害保険の保険料を10%割り引くもの。

6.事故のときは 
 まずは、落ち着いてください。冷静に判断する力が必要になります。
 最初に行うべき事は、双方の怪我の確認です。怪我がひどいようでしたら救急車を呼ぶなどの措置が必要になります。
 次に、二次的な事故を引き起こさない様に車を安全な場所に移したり、発煙筒を焚いて他の車に知らせることも必要でしょう。
 最終的には、自分や相手にどのぐらいの損害と責任が発生するのか示談をすることになりますが、事故の現場では具体的な話は避けましょう。
 しかし、示談を進める上で、現場の状況が大きな鍵になりますので、事故の状況は双方で確認しておくほうがよいでしょう。その際、相手の名前や住所、車のナンバーや損傷具合、 加入している保険会社や、その連絡先まで調べておくと、よりスムーズな示談ができるでしょう。その場で保険会社に連絡が取れるのなら、取ってみるのも良い方法でしょう。
 続いて、警察への届け出が必要です。110番で対応してもらえます。 事故の大小に関わらず届出ましょう。この届けは保険金の請求に必要な「交通事故証明書」を取得するのに必要です。

●交通事故証明書について
  まず、交通事故証明書の発行場所ですが、これは「交通安全センター」と言うところで、発行されます。「交通安全センター」は免許を発行したり、更新したりする時に行く「免許センター」の中にあります。申請書を記入して600円支払うと発行してくれます。交通事故証明はほとんどの場合が、加入している保険会社で取り付けをしてくれますので、事故にあっても、目にすることは無いのが通 常ですが、自賠責の請求を自分でする場合などにおいては取り付けが必要になる場合もあります。わざわざ免許センターに出向かなくても、郵便局で申請することも出来ます。因みに、この証明書はその事故の関係者にしか発行してくれません。
  内容は、警察に届け出た情報が記載されます。種別が「人身事故」と「物損事故」とあり、普通の届出では「物損事故」扱いになります。その事故で誰かが死傷した場合、その人の「診断書」を警察に提出して、それを警察が正式に受理した場合は「人身事故」となります。 「人身事故」になると、その事故の原因を作った人に「行政処分」があります。具体的には、免許の点数や罰金、大きな事故になると実刑になることも有ります。

●事故の後で必要になる手続き
 
事故状況が把握できたら保険会社へ連絡しましょう。保険会社に連絡したからといってそれが即、保険を使うということにはなりません。極端な言い方をすれば、損害額や過失割合の査定まで手伝ってもらい、責任額が低い場合は保険を使わず、自分で払うこともできるのです。但し、保険会社は保険を使うということを前提に査定しますので、あらかじめそういったことも含めて相談してみましょう。
 事故の担当の方にいろいろと相談すると、専門のスタッフの方が親身になって対応してくれるはずです。

●何を請求できるのか?(物損事故編)

 事故に遭ったら、なにを請求できるのでしょうか。

1.直接的損害
 事故当時に目に見えて損害を被った分の補償と考えていただければ結構です。具体的には、車の損傷、家屋の破損、自転車や衣類、その他事故で壊れてしまったものの損害です。
2.間接的損害
  直接的な損害を受けたことによって被った損害です。具体的には代車費用、休業損害などです。直接損害に関しては、過失割合に応じて支払いがありますが、間接損害は、加害者に一方な過失がある場合が原則と考えてよいでしょう。一般的な例としては、一割でも過失がある場合は原則的に代車の費用は出ません。

●何を請求できるのか?(人身事故編)
  人身事故に遭った場合、何を請求できるのでしょうか。

1.積極損害
 ・治療費:医療機関に支払うべき治療費です。
 ・交通費:通院交通費などが主です。
 ・葬儀費:死亡事故の場合に支払われます。
2.消極損害
 ・休業損害:会社を休んだための損害です。
 ・逸失利益:死亡や後遺症で事故前と比べて働けなくなった場合に生ずる将来の逸失利益です。
 ・慰謝料:死亡や怪我で被った痛みや精神的な苦痛に対して支払われます。
  そのほか、メガネやコンタクトも人的損害に含まれます。人身事故も対物事故のように過失割合が適応される場合があります。

●過失割合について
  過失割合とは、どちらにどれだけの不注意があったかの割合のことです。今までの事故の判例に基づき製作された判例集を基に判断されます。

●任意保険が出ない場合
  任意保険が支払われない例をいくつかご紹介いたします。

1.対人事故・対物事故、共通
 ・契約者の故意 。
 ・被保険者の故意。
 ・戦争・革命などの暴動。治安が著しく乱されている状態。
 ・地震・噴火。それらによる津波。
 ・台風・洪水、または高潮。
 ・核燃料物質によって汚染された物の放射性や爆発性などに起因する事故 。
2.対人事故の場合
 ・他人に該当しない人を死傷させた場合。(他人に当たらない人とは、同居している家族や保険の契約者本人などです。)
 ・保険契約者の仕事に従事中(家事は除きます。)の人を死傷させた場合
3.対物事故の場合
 ・他人に該当しない人の財物を滅失・破損・汚損した時。
 ・保険に掛かっている人の仕事に従事中の人の財物を滅失・破損・汚損した場合。

●示談交渉の進め方と考え方

 では、事故に遭って解決に至るまで保険会社の中ではどのような流れになっているのでしょうか?ここでは物損事故について簡単にご説明致します。

1.事故の連絡 できるだけ詳しく。当事者が連絡しましょう。
自分に過失がない事故でも、自分の保険会社(または、代理店)に報告しましょう。
2.事故の確認 保険会社は、相手や相手の保険会社に連絡を取り、双方の意見や今後の話し合いの窓口の確認をします。
3.調査の開始 事故現場の確認--見通しや道路状況。損傷物の確認、車や建物の損傷具合やその事故との整合性を調査し、責任額を算定します。
4.話し合い 調査の結果を踏まえながら、お互いの意見をさらに煮詰めていきます。判例に基づき、過失の割合も決めます。
5.示 談

お互いの損害額と過失の割合から責任額を決定し、書面にて示談の確認をします。具体的には示談書に押印します。

6.支払い 示談の内容に沿ってお支払いの手続きを行います。

  事故と言っても、様々なパターンがあり、すべての事故が判例に当てはまるとは限りません。 そのため、その事故に一番近いと思われる判例を基にして話し合いを進めるわけですが、ここは保険会社の腕の見せ所でしょうか。どれだけの現場の状況の確認と裏付けになる証拠の収集能力があるのか?示談交渉能力は ???となるわけですが、過失に応じて自己負担金の出ないタイプの保険(人身傷害など)にしておけば「保険会社のフトコロの問題」ということになるので、安心して任せられます。
 そのような場合の為にも、ある程度の補償は付けておくことをお勧めします。( 事故は一旦起こってしまうと、想像以上に面倒な事が多いのです。)どんな事故であろうと、自分の思った事や感じた事は、思い切って担当者に相談してみましょう。

●意見が食い違った時の調整方法
 事故の示談を行っていると、当事者同士の意見が必ずしも一致するとは限りません。例えば、信号のある交差点で、双方が「青」の主張をした場合等。運良く、その場に居合わせて、事故を立証してくれくれる人がいれば良いのですが、ほとんどの事故は立証してくれる人は居ません。よく「助手席の友達が見ていました」とおっしゃる方もいらっしゃいますが、中立の立場の人では無いので、参考程度にしかなりません。
 では、そのような場合、どのようにして当事者同士の意見を調整するのでしょうか?
 まず、担当者は契約者の話を出来るだけ詳しく聞きます。それから、調査を開始します。 調査で、まず大切になってくるのは、「立証できる物」を探すことです。 人通 りの多い所や、近くに商店がある場合は証人になってくれる人が居るかもしれません。確実な証拠としては、車の傷や、現場のスリップ痕などがあげられます。車の傷は双方のものを確認することで、「整合性」の判断と力の加わった方向や量 などを知る鍵になります。スリップ痕はその長さや、事故時の路面の状態から、何キロぐらいで走っていて、どのあたりでブレーキを踏んだのか計算することができます。上記の「信号機、双方青主張」に関しては、信号機の種類(定期周期式とか、多段式信号機とか・・信号機にもいろいろあるのです。)を調べ、事故当時、どのようなサイクルで、両方ともが赤であったのは(日本の信号機は全赤信号といって、どちらかが青になる前に両方とも赤になります。)何秒間だったのか?なんてことを調べているのです。
  そういった諸々の調査結果から、事故を出来るだけ正確に想像してみると、どちらの言い分が正しいのか分かることもあるのです。そうして、意見の調整をしても、まだ双方の納得が得られない時は、双方の保険会社の調査員と当事者(両者)で現場に出向いて、事故の状況を確認し合うこともあります。

「一般の調査会社に依頼」
  または、双方の保険会社とは全く別の一般の調査会社(事故の調査をする専門の会社)に調査を依頼してその結果 で過失を決めることにする場合もあります。因みにその調査会社はどのような調査をするか?と申しますと、まず、現場の調査、それから、事故の当事者への聞き込み、自動車の破損具合・・などです。
  このような調査は、時間も相当掛かってしまい、当事者はかなりくたびれます。車両保険に加入していなかった場合は自分の車の修理代を受け取ることが出来ず(過失が決定していないので。)修理工場に迷惑を掛けてしまったり、自分で立て替えをしなくてはならなくなったりします。このようなことを避けるためにも、事故が起こったら、その場で警察に届け出ておくことが望ましいですし、現場で証拠になりそうなものがあれば双方で確認を取ったり、メモしておいたりすることも必要でしょう。 それでも、意見がまとまらない時、これは保険会社だけでは解決が無理であることもあります。その場合、弁護士に依頼をする等、「法的な解決」も必要となってきます。

●法的解決の方法

  ここでは、裁判だけでなく、幾つかの法的な力を借りる解決方法をご案内致します。 ほとんどの事故は法的な力を借りる必要はありませんが、相手との意見に著しい誤差が生じたり、余りに誠意の無い対応であった場合は(具体的には、きちんと支払いをしてくれない場合など)必要になります。但し、時間も手間も掛かりますので、その辺は覚悟しておいたほうが良いでしょう。
  法的な措置に関して、やはり気になるのが「訴訟(または調停)の費用」や「弁護士の費用」です。しかし、示談交渉付きの任意保険に加入していた場合、保険会社が交渉において必要と見なす場合のそれらの費用は任意保険から出ます。
  訴訟の費用に関しては、訴額(相手に対していくらの訴訟を起こすかの額)に対して、収める印紙(印紙は郵便局に売ってあります)の額が決まってきます。
  弁護士費用に関しては、各弁護士が決める事なので、一概には言えませんが、弁護士会で基準は設けてあります。個人的に弁護士を依頼する場合は前もって交渉しておくことをお勧めします。(結局は赤字、何てことでは、意味がありませんから・・・。)但し、弁護士の報酬は訴訟での賠償金額に準じて歩合で決めることが多いので、足が出ることはほとんど無いです。
  事故で、双方の見識が食い違ったとしても、いきなり相手に訴状を送り付けるのは、考えものです。どの部分で意見が合わないのか?いくら請求したいのか?争点を明確にしましょう。交渉を重ねても折り合いが付かない場合、いよいよ法的解決の手続に至ります。

調  停 訴訟よりも簡単です。簡易裁判所にて行われます。調停員が間に立って、双方の言い分を聞き、解決に当たります。
小額訴訟 訴訟の小さい版です。訴額が少ない場合に(30万以下)のみ行えます。収める印紙代も少なくて済みます。但し、訴訟と違って、証拠の提出に関することや、反訴が出来ない(その場で解決しなかった場合は小額訴訟では、それ以上解決する事が出来ません)などの制約も多いのが欠点です。
訴  訟 訴訟になる場合は弁護士を頼みましょう。(調停や小額訴訟も弁護士に依頼する事をお勧め致しますが)訴訟は収める印紙代も高額で、とにかく時間が掛かる、という事はあらかじめ考慮に入れておいて下さい。
とはいえ、法的な措置を取る事が出来ますので、とても有効です。

 事故の解決は決して「金額」の問題だけではありません。実際、「この金額で、十分とは思わないが、相手の誠意が感じられるので、無理は言わない」と言って下さる方だって、いらっしゃる訳です。そして、逆も然りです。
 それから、「時間」も重要な鍵になります。解決までに余り長い時間を掛けると、感情がもつれたり、事実が曖昧になったり・・・何より、事故のことが頭に引っかかって、気持ちが晴れない事になりかねません。どこかで見切りを付けるということも必要かも知れません。 訴訟などに至っても、時間とお金をかけてもやるべきなのか?折り合いをつけた方がよいのか?賢明な判断が重要でしょう。